高知県立坂本龍馬記念館　新館

摘要

坂本龍馬記念館は、1991年に県立の施設として開館した。約20年を経て本館の改修と文化財の展示·収蔵機能が必要になったため新館の増築を行った。新館は書簡などのデリケー卜な文化財の展示·収蔵が主目的であり、博物館建築の基本に則った計画である。展示室と収蔵庫を2階に集約し、二重の外壁と屋根で守り、万がーにも漏水などによる水損事故を起こさないつくりである。熱負荷も最小限とするため開口のないGRCのダブルスキンで鉄筋コンクリート造の建物を覆っている。展示室·収蔵庫を覆うダブルスキンが本館側に膨らみ、その広がった隙間が1階のェントランスホールや2階のロビーなどの共用空間となる。共用部のダブルスキンには最小限の開口を設け、明かり取りの窓にした。照度を落とした展示室へのアプローチ空間として、小窓に誘導され徐々に暗くなる緩衝空間である。2階のロビーから外部への視界を遮られたプリッジを渡り、本館2階の展示室に入ると一気に太平洋への視界が広がる構成である。