南沙海戦で沈む非力な沿海戦闘艦LCS

摘要

米国は、中国が二〇一四年から南シナ海の南沙諸島にある五つの岩礁で実施している大規模な埋め立てや三千m級滑走路を含む港湾・軍事施設の建設に対し、地域の安全保障を脅かす一方的で危険な行動であるとして工事の即時中止を求めている(カーター国防長官)。そもそも米国の立場は、中国が主張する岩礁や人工島の領有権を認めておらず、米軍は特に南シナ海での航行の自由を堅持する任務を続けると再三にわたり表明していた。この立ち位置から米軍は、海軍太平洋艦隊に配備されて間もない最新兵器を相次いで同海域に派遣し、強気の偵察活動を本格化させていた。いわゆる牽制である。対して中国側は、「主権の範囲内の問題であり、軍事防衛の必要を満たすため埋め立て工事は中止しない」方針を表明(PLA副総参謀長の孫建国海軍上将)。このように南沙問題を巡り両国が対立するなか、二つの緊迫した事件が現場で発生していた。