幻の東京オリンピック: 1940年大会招致から返上まで

摘要

2020年の第32回オリンピックの開催都市は東京である。レガシーや大会費用などの問題で、テレビ·新聞でも取りざたされることが多い。東京開催は2回目であるが、1964年に招致された第2回オリンピックにおいて、水泳会場であった国立代々木競技場などの施設は今日でもその雄姿をとどめている。第2回オリンピックの最終聖火ランナーは、広島原爆投下当日の1945年8月6日生まれの早大競争部の坂井義則氏である。1964年当時、日本は世界5位のGDPとなり、先進国のみがメンバーであるOECD加盟を果たしており、戦後復興を世界にアビールする大会であった。第一次·第二次世界大戦により、第6回ベルリン大会(1916年)、第12回東京(1940年)、第2回口ンドン(1944年)が中止になった。紹介する書籍は、幻のオリンピック東京大会となった第12回(1940年)の招致から返上にまつわるものである。