文化財の雷保護

摘要

重要文化財は.国の歴史と文化を具現するもので，国民にとってかけがえのない貴重な財産である。一方，雷対策の十分とられなかった近代までは.戦火，失火.放火などと並んで，雷による社寺の焼失はかなり多かった。近年は，避雷設備や消火対策の強化により，雷による文化財の消失はかなり減少したと推定されるが,2008年8月24日に，京都醍醐寺の准胝観音堂が雷により全焼するなど，雷の脅威は，まだまだ続いている。重要文化財建造物は，木造が全体の9割以上を占める。火災に対し弱く，また短時間で火勢が拡大する。特に.茅葺き屋根や檜皮葺屋根は燃えやすく，一般的な消火方法では，対応が困難である。