言葉の玉手箱

摘要

ジェンダージェンダーの概念は，1960年代（日本では1970年代）以降の第2波フェミニズム運動の問題意識を基盤として，その後の女性学(Women's Studies)の中で精緻化されてきた.一般的に生物学的性差と対置するかたちで「社会的文化的な性差」の意味で知られているが，1990年代前後以降は，男女の「性差に意味を与える知(J.スコット）として定義されるようになる.これは誰がどのような時どのような立場で何のために，いかなる知を用いて男/女を区別し，正当化するのか，それらを通して，社会的につくられている男女間の不平等な権力関係を分析するための概念として用いられてきた.した力5'つて，「ジェンダ一平等」というときそれは性差をなくすといったことではなく，男女間の不平等の是正をめざすことを意味している.