機関誌『A.C.』にみられる、近代建築と地中海民家建築との関係について 建築家集団G.A.T.C.P.A.C.(現代建築の発展を目指す力タルーニヤの建築家技術者集団)研究(2)

摘要

This research investigates how GAT.C.PAC. (1930-1939) led the push for architectural modernization and urban planning in Catalonia, Spain. Particular attention is paid to Mediterranean vernacular architecture, by reading of"A.C." (1931.1937). In conclusion, this research revealed that GAT.C.PAC. defined common characteristics shared by modern and vernacular architecture, and we claim that national issues were solved by a comprehensive architectural and urban planning strategy. This strategy is evident in Barcelona, where the rationality and lyricism inherent in Mediterranean vernacular architecture, traditional furniture and outdoor activities is most apparent.%本研究は、スペインのカタル一ニヤ地方における建築.都市の近 代化過程に関して、ムダルニズマModernisme"ゃノゥサンティズマ Noucentisme以後のカタル 一ニヤ建築思潮の系譜を担う建築家集 団G.A.T.C.P.A.C. (1930-39)を主題として採り上げるものである。 前稿2)においては、当時のスペイン、カタル一ニヤの状況を踏まえ ながらG.A.T.C.P.A.C.及ぴG.A.T.E.P.A.C.結成に至る経緯を迪り、 カタル一ニヤにおける近代合理主義建築運動の契機について論じた。 その中で扱ったG.A.T.E.P.A.C.結成宣言文において、彼らは機関誌 『現代の活動の記録』Documentos de Actividad Contemporanea (1931-37,以下『A.C.』）3>の発行を自身らの主要活動の一つに挙 げており、『A.C.』は、彼らの思考を追う上で重要な資料と言える。 『A.C.』には主に、自身らの計画提案や他国の近代建築作品の紹介、 CIAM • CIRPAC会議の報告、建築•都市の近代化に対する提言が 掲載される。しかしその記事の中には、地中海の伝統的な民家建築 (以下、民家建築）や家具に着目したものが散見され、様式主義的 なアカデミズム建築との断絶を標榜した近代建築思想において、非 様式的で土着性•無名性を帯びた建築に価値を見出す観点が含まれ ることにG.A.T.C.P.A.C.の近代建築を希求する思想の特質が示さ れているのではないか、と考える。このことから本稿では、その具 体的な内容と要因を明らかにすることを目的とする。その内容と要 因を明らかにすることが、敷衍して、G.A.T.C.P.A.C.の捉えたカタ ルーニヤにおける建築•都市の近代化という問題の読解に通ずると 論者らは考えるからである。