シャルル=ェドゥアール·ジヤンヌレ(ル·コルビュジェ)のドイツ装飾芸術運動研究における「装飾」の概念構成: 「工業」「芸術」「類縁性」

摘要

本稿は建築論における「装飾」概念の20世紀的変容を考察するために、ル·コルビュジェこと青年期のシャルル=ェドゥアール·ジヤンヌレによるドイツにおける装飾芸術運動の研究(1910)に着目し、報告書『ドイツ装飾芸術運動の研究』(1912)(以下『研究』)及び現地研修旅行に携えた4冊の手帖や断片的な素描、書簡、関速する書籍の構想を通して、ジヤンヌレにおける「装飾」の概念形成について考察することを目的としている。シャルル=ェドウアール·ジヤンヌレ(ル.コルビュジェ)が「装飾芸術」を通して「装飾」を主題的に論じるのは、ドイツへの研修旅行後に執筆された1912年の『研究』と1925年の『今日の装飾芸術』である。たしかに、「装飾こそは未開人のたしなみである」というル.コルビュジェの断定は、ァドルフ·ロースの装飾否定論と同調している。