カプラー上にせん断補強筋を配さないRC梁に対する実用せん断設計式の適用性の検証

摘要

鉄筋コンクリート造建物に鉄筋の継ぎ手は必須である。鉄筋継手には，スリープやカプラーの機械式継手が数多く使用されている。さらに，RC部材ではせん断補強筋は均等配筋されることが一般的であるにもかかわらず，施工性・設計上の問題解消の観点から，継手上のせん断補強筋を継手端部の異形鉄筋上に配筋し，せん断補強筋間隔をその部分だけ広くする工法が提案されている。本報告では，このような工法を採用した場合には，一般のRC部材と同様の各種せん断設計式を適用できない可能性を指摘し，カプラー継ぎ手を有するRC梁の曲げせん断実験を実施し，各種せん断設計式の適用性を検証している。その結果，カプラー端のせん断補強筋量を一般部より多くする必要性を提案している。ただし，建築基準法施行令第78条は，緩和規定はあるものの，あばら筋間隔は部材せいの3/4を超えないように規定しており，機械式継ぎ手を使用する場合にも遵守するのは当然である。%RC beams without stirrups on couplers of longitudinal reinforcing bars were tested to investigate the shear performance. Seventeen beam specimens were designed and constructed with different structural details such as existence of coupler, coupler length, location of coupler, and existence of stirrups on coupler. A method to consider the specific details of these beams in the practical shear design equations was presented to evaluate the shear performance. Its applicability was examined through cyclic loading tests of the specimens.