2011年東北地方太平洋沖地震の観測記録を用いた応答解析に基づく免震ダンパーの損傷評価

摘要

本報告では，東北地方太平洋沖地震での観測記録を用いて免震用履歴系ダンパーの損傷を評価している。履歴系ダンパーは地震エネルギーを吸収すればその程度に応じて損傷はするものの，免震建物の上部構造には地震被害を生じさせない。今回の地震でもほとんどの建物で免震効果が発揮されたことがわかっている。震度6強を記録した免震建物から鉛ダンパーが回収され、その残存性能が検証されている。この鉛ダンパーは今回の本震と余震だけでなく、2008年岩手宮城内陸地震をはじめ震度5以上の地震を計7何受けている。これらの地震を全て考慮した場合、損傷度は0．35程度と推定されており、本報告での推定結果とほぼ対応している。なお、この建物にはループ状鋼材ダンパーも設置されているが、損傷度がそれほど大きくないため、そのまま使われている。いずれにしても履歴系ダンパーの損傷評価の方法、取り替え基準等を明確にしておくことが求められている。%The 2011 off the Pacific coast of Tohoku earthquake generated the main shock with long-duration and long-period and the magnitude 7.0 class aftershocks many times in a wide range of eastern Japan. The horizontal displacement response of the isolated building caused by them was about 0.4 m. They damaged seismic isolated dampers such as steel dampers and lead dampers. This paper presents to evaluate responses of isolated buildings and the damage of seismic isolated dampers by results of response analysis using simple isolated building model under bi-axial horizontal loading in main shock and aftershocks observed at 6 points from Aomori to Tokyo.