階段室型共同住宅における大規模改修手法の研究: コーシャハイム千歲烏山住棟改善モデル事業を通じて(その1)

摘要

階段室型アクセスの集合住宅の改修方法として，我が国では階段室型エレベーター方式が定着してきた感がぁるが，筆者が指摘するような課題があった。また，その改善策である階段一体型エレベーター方式にも改良の余地があった。本稿で示されている，既存階段室の一つをエレベータシャフトへ置換し共用廊下で接続し他の階段室を避難階段として活用する方法は，これらの課題を一気に解決する画期的な方策である。加えて，ピットの工夫による1階の低床化，共用廊下の幅員設定や接続方法，エントランスホールの設置方法，間口方向への壁増設による耐震補強と偏心是正，共用廊下に面した縦配管類設備スペースの確保，多様な住戸構成の実現など，お見事という他はない包括的な解決策が本稿には示されている。その解決策は階段室型住宅改修のまさに一般解となりうるものである。その計画の道筋を丁寧明瞭に報告した本稿はこれから何度も参照されることであろう。%There is a lot of dilapidated building stock of staircase type residential building which is over 30 years after construction. It has been becoming urgent issue how to regenerate these old stocks. This study is aimed to propose a versatile renovation method for staircase type residential building. Here we report 1) the technical review process for building upgrade, and 2) many variation of room types which accepts diversity of residents. Both verification reports are on the case of large-scale renovation project by Tokyo Metropolitan Housing Supply Corporation.