実験概要とスライド支承の実験結果: 鉄骨置屋根支承部の地震時破壊挙動と耐力に関する研究(その1)

摘要

2011年の東日本大震災の折に多く見られた鉄骨屋根のRC支承部周りの被害に着目し，貴重な実験を行った非常に有意義な研究報告である。著者のエネルギーに敬意を払いたい。rn同様な被害は，1995年の阪神大震災でも共通に見られた被害として報告されている(本会報告書第3巻)。但し本論文で一くくりにしてしまっているPCa置き屋根(シルバークール)と，鉄骨屋根では，だいぶ状況が異なる。鉄骨構造とRC構造の接続部分の過去の類似被害に目を向けて欲しい。さもなくばせっかくの実験が，自分が見た狭い被害事例とのすり合わせに終始してしまう。rn実験に際しては，様々な仮定や制約条件が必要であったことは充分理解できる。が，下部構造とのインタラクションは気になるところだ。40kNや60kNの反力は実被害でも，下部構造の応答を発生させている。本研究はまだ端緒であり，この実験結果から拙速な補強策を急ぐことはないと信じたい。単なる補強は，次に弱いところへ力を持っていくだけで，モグラたたき的な対処療法は結局規準書を厚くするだけである。せっかく被害の集中する場所を見つけたのだから，全体的な挙動を見極め，最善と思われる対処法を示そうとする観点を是非持って頂ければ鬼に金棒である。%The present study experimentally simulates and analyzes the damage of bearings in steel large roofs that was observed after the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake. In this study, cyclic shear force is given to three models of slide bearings and four models of semifixed bearings. In the slide bearing tests, mobility is the first interest ana in the semi-fixed bearing tests, damage and crush of base mortar are focused and the shear strength is evaluated according to the AIJ recommendation. In the Part1, the overview of the experiment and the behavior of slide bearings is described.