応答低減目標を定めた高減衰オイルダンパーの木造住宅への適用

摘要

In this study, the development of wooden shear wall with oil damper was described. The purpose of the development is to reduce a maximum story drift in 20% by the addition of two shear walls during severe earthquakes. The main flow for achievement of this purpose is to design joints resisting high shear strength, to develop and verify the high performance oil damper and to assess the shear performance and story drift using time-history analysis. The dynamic shear wall tests were also carried out to confirm the analytical study.%木造建築物に限らず，強度と靭性能は耐震性能を簡易に評価できる有効な静的指標であり，一般に用いられている。これに対してダンパーなどの制振装置は動的な検討や評価が必要であるため，それらの静的指標と共に論じることは容易ではないが，本研究では具体的な応答低減目標とそのために必要なダンパー性能を検討し，これを等価な壁基準耐力に置き換えることを試みた有用な論文である。また木造建築物においては，耐力壁やダンパーが有効に機能するためには接合部の仕様が重要であり，本研究では4種類の支持方法による実験を行い，A型が最も有効であったとしている。ロッキングによる上部梁の回転が関係していると推察されるが，原因に関する考察，及びロッキングへの影響が大きい鉛直荷重の条件に関する言及が不足しているように感じられた。今後，実用化のためのさらなる知見が得られることを期待したい。