洋館の付加は家族生活領域の向上に寄与したか 洋館付加住宅の建築計画史的研究 第8 報

摘要

本稿で述べた事項をまとめると次の点が指摘できる。rn①洋室が建設時から一貫して応接機能を担っている住rn宅は僅か9 戸であり、時代経過に伴う家族構成、住rn要求の変化に対して、流動的な利用をされていた。rn②付加された洋室は、必ずしも応接利用のみを想定しrnたものとは限らず、むしろ、簡易な接客および座敷rnの前室的利用が強く意識されてs 計画されている。rn③座敷で団らんが行われている事例は認められない。rnここが主人の占有空間であった場合でも、もっぱらrn多人数接客や酒食のもてなしに用いられており、家rn族生活空間とはなり得ていなかった。rn④洋館が付加されても、団らんは茶の間で行われており、rn室配置の方位でみる限りには、その居室環境向上は図rnられていない。