衝撃弾性波を用いた大径木材の完全非破壊型材料特性推定に関 する研究

摘要

We propose the completely non-destructive test using impact elastic waves for estimating the material properties of large diameter wood. In this test, splits in the wood have little effect on the measurement. We confirm the relationship between the surface and the cross section distributions of the wave velocity measured with the proposed test. Furthermore, we discuss the method to estimate the material properties based on the wave velocity of the wood surface. There is a possibility that the Young's modulus can be estimated approximately by measuring 4 points equally dividing the wood surface in the circumferential direction.%現在，文化財保護法に基づき国宝•重要文化財に指定されている建造物は2,437件，4,732棟である。重要文化財には寺社仏閣が圧倒的 に多く，用いられている軸組は径の大きい木材で構成されている。地 震による被害を減らすためには，適切な耐震性能評価と耐震補強が必 要となるが,その際木材の材料特性（ヤング係数や強度など）の把握 が重要である。本研究は，木材に傷がつかない方法で材料特性を推定 することを目的とし，衝撃弾性波を用いた完全非破壊法を提案し，実 際に直径300mmの2本のヒノキ材に対し測定を行い，材表面で伝播 速度を計測する際には，円周方向に4等分する任意の4点を計測する ことで，より多くの点数で計測した場合と概ね同程度の値が得られる ことを明らかにした。伝播速度は材の密度に影響を受けるため，今後 は試験体数を増やし，密度の範囲を広げ，実用的な測定が可能となる ことを期待したい。