真宗大谷派函館別院本堂（大正4年竣工）の構造的特徴と振動性状

摘要

The main hall of Ohtaniha Hakodate Betsuin, which was completed in 1915, is the oldest temple architecture using reinforced concrete structure in Japan. The temple has been designated as an Important Cultural Property of Japan in 2007. In this paper, structural characteristics of the temple based on previous studies were described. Furthermore, evaluation of vibration behavior of the temple by micro-tremor observation and eigenvalue analysis using numerical 3-D frame models were presented. From the results, natural frequencies of the analytical model with decreased concrete Young's modulus considering aging and construction situation showed a good agreement with the micro-tremor observation results.%本研究は，我が国で最初にRC造で伝統様式を再現した寺院建築で ある真宗大谷派函館別院本堂について，微動計測と立体骨組モデルを 用いた固有値解析を行ったものである。解析では創建部と改修部のコ ンクリート強度を調整して，微動計測から得られた固有振動数を説明 できることを示している。しかし，簡単に実施可能なシュミットハン マーによる非破壊試験や衝撃弾性波試験などを自ら実施されていない こと，微動計測から得られた振動モードをどの程度解析で説明できた のかなど，推論を裏付ける資料が示されていないことは残念である。 一方，当該敷地が火山山麓地で比較的良好な敷地に建っているとして も，地盤とRC造であることから，建物の動的相互作用が固有振動数 に影響していないことは数値的に言及すべきであったと考える。なお， 基礎や地盤条件，建物の創建部•改修部の場所など，モデル化の方法 を十分に理解できる図を示していただきたかった。 歴史的建築物; RC構造; 寺院建築; 国指定重要文化財; 常時微動測定; 固有値解析