宮城県気仙沼市における沿岸風 景の可視化と避難方向の認識を 両立する光環境の提案

摘要

本報告の問題意識は，津波被災を受けた気仙沼市の沿岸を対象にし て，活性化と風景の継承という大きな目的をかかげ，光環境がそれに 向かってどう寄与できるのか，という点にある。被災時に真っ暗な中で助けを呼ぶ声が響いていたという証言がある ように，帰還後の暮らしにおいても下校途中の道が暗くて怖いといつ た声があるように，人が何気なく暮らしているときには気づきにくい 光環境の重要性は改めて注目されるべきであろう。そのことに，本報 告は気づかせてくれる。照明は，活性化を目的とした人の気配の創出の手段であると同時に， 継承すべき気仙沼らしい風景の一部であるという二つの性質がある。 この二者が，相互補完的に作用するとよいのだろう。照明は生活して いる家々から漏れ出る灯が群になって，まちとしての気仙沼の特徴を表すことになると思われるが，実験ではなかなかそうした状況を作り 出すのが困難であろう。それを乗り越える方法論が待たれる。 気仙沼; 避難照明; 地理的方向; 景観固有性; 津波%This lighting environment project simultaneously proposes that the unique landscape of the coastal area can be perceived and that residents can evacuate promptly when a disaster occurs at night. Lighting social experiments were carried out for one month around Isuzu Shrine which overhang into the bay in Kesennuma city. Experimental results showed that the recognition of evacuation routes and elevation direction were improved and the landscape peculiar to Kesennuma was also configurated. It was shown that it would contribute to securing nighttime safety by moderately expressing geographic features and townscape.