混合性結合組織病に合併する肺高血圧症にステロイド治療は有効か？

摘要

現　状 1. ステロイドまたは免疫抑制薬の有用性を示す記述研究が散見される． 2. cyclophosphamideパルス治療の有用性が分析疫学的研究で報告されている・ 3. これらの背景から，本邦の混合性結合組織病および強皮症診療ガイドラインにおいて推奨グレーC1（科学的根拠はないが，行うように勧められる）とされている． 問　題 1. 膠原病患者の呈する肺高血圧状態は様々であり，エビデンスの蓄積がむずかしい（鑑別診断の重要性）． 2. 免疫抑制治療の有用性を支持する2つの後ろ向き研究があるが，その解釈には併用治療薬に注意を払う必要がある（ステロイド治療効果判定のむずかしさ）． 模　索 1. ステロイドを含めた免疫抑制治療の有用性を検討する前向き研究を行う（雁患率が低いため，困難な点もある）． 2. 早期軽症で診断するため，定期的なスクリーニングを行う． 3. スクリーニング後に十分な釜監別診断と重症度診断を行う． 4. 治療介入後の経過観察により，長期予後を明らかにする． 展　望 1. これらの模索により，混合性結合組織病に合併する肺高血圧症の自然歴が明らかにされなければならない． 2. 早期診断のための診断方法の確立が望まれる． 3. その方法を用いて，肺高血圧症の予防や超早期治癒のために，免疫抑制療法やPAH治療薬の有効性が検討されることが望まれる．