異なるpH環境下における海洋性Anammox細菌のアンモニウ厶分解能の評価

摘要

赤潮は，プランクトンが異常増殖することで海や川が赤色に変色する現象である。赤潮は海洋の閉鎖水域で見られることが多く，要因として水質の富栄養化(流入する廃水成分による)が考えられている。その原因物質の1つである窒素源は，硝化-脱窒により処理されているが，廃水中の有機物成分濃度の維持，水素供与体の添加コスト，酸素供給動力，余剰汚泥の処理コストなどの問題が残されている。この手法に対し，近年研究の進むアナモッタスプロセス(Anammox，anaerobic ammonium oxidation，嫌気性アンモニウム酸化法)は，構成細菌群が独立栄養細菌であるため有機物を必要としない，廃水全量の硝化が不要であり，嫌気性細菌であるため酸素を必要としない，増殖収率が低いため余剰汚泥の発生が少ないという利点が知られている。Anammox細菌の示す生物化学的量論式は，以下の(1)式とされており，アンモニウム性窒素と亜硝酸性窒素が反応することにより，窒素ガスと硝酸性窒素を生成する。