産廃処理から資源循環へ第27回自治体が知恵絞った独自施策: 水道水源条例と産業廃棄物税

摘要

地方に設置される廃棄物処理施設と大量に排出される産業廃棄物にどう対処したらよいのか——。1990年代を中心に処理施設の建設をめぐって住民紛争の起きた市町村が取り組hだのが水道水源保護条例の制定だった。三重県では津市と紀伊長島町(現紀北町)が産廃施設の立地を止めるために条例を制定し、設置を禁止する措置にでた。しかし、業者との裁判に発展し、津市は予定地を購入して事を収め、紀伊長島町では最高裁まで争い逆転敗訴するなど苦い経験を味わった。水道水源保護条例はかっての立地規制型から汚染物質の排出規制型の条例への流れも生まれた。一方、三重県が産業廃棄物の排出削減を目的に全国で初めて導入したのが産業廃棄物税だった。地方環境税がもてはやされる風潮や地方財政の悪化を背景に、急速に全国に広がっていった。しかし、肝心の迷惑施設とされた処理施設の設置をどう住民の理解のもとで進めるかという課題は残ったまま、21世紀を迎えている。