ブランチライン型ハイブリッド回路移相器を用いたKu帯Push-Push VCO

摘要

本論文では,プランナライン型ハイブリッド回路移相器を用いた正帰還型Push-Push電圧制御発振器（VCO）について報告する.本発振器は,発振デバイスの第二次高調波エネルギーを出力として得ることができるPush-Push発振器をVCOに機能拡張したものである.マイクロストリップ線路とスロット線路を用いた両平面回路技術を用いることで,簡易な構造のVCOとなっている.発振デバイスは出力信号の1/2の低い周波数帯用のものを用いることができるために,高周波化による発振特性劣化にも有効である.本発振器の発振周波数は正帰還型回路の帰還ループの電気長によって決定されるので,帰遠ループ中に移相器を組み込むことで,容易にVCO化を実現することができる.実験結果より,試作したPush-Push VCOはKu帯において1,079MHzの広帯域なチューニングレンジを達成した.また不要高調波の抑圧も良好であり,位相雑音特性も1MHz；離調時で-105.8～-109.7dBc/Hzの良好な特性を実現した.