60π抵抗膜の電波吸収効果に関する実験的検討

摘要

面抵抗値を有する抵抗膜を使った電波吸収技術として,従来の120π口とは異なる60π口の抵抗膜に着目して検討を行い,その吸収特性を確認した.理論検討により,抵抗膜を金属板近傍に配置した場合,金属との距離や周波数が変化した際には従来の120πΩ口よりも60πΩ口の抵抗膜の方が有効な場合があることが分かった.次に,シールドボックス内の定在波の抑制という観点で面抵抗値60π及び120πΩ口の抵抗膜の性能を評価した.これにより,金属板近傍に抵抗膜を配置する際には,従来の吸収体と同じく金属板と抵抗膜の間隔dが入/4に近いときに最も吸収量が多いことを確認した.更に,dが入/2に近い場合においても,吸収量の角度特性によりある程度の吸収性能が得られ,120πΩ口よりも607πΩ口の抵抗膜の方が定在波を抑制できることを確認した.