Ku帯移動体衛星通信システムにおけるディジタル制御偏波追尾アンテナ及び衛星実験評価結果

摘要

Ku帯移動体衛星通信システムにおける地球局アンテナは，指向方向のみならず偏彼の追尾も必要である．特に周波数有効利用の観点から，直交する2偏波の同時使用のためには，偏波間干渉を低減させる必要があり，高精度な偏波形成及び偏波追尾が要求される．本論文では，“高速・高精度な偏波追尾”，“薄型アンテナへの適用”を実現するため機械的な偏波追尾機構を排した電気的偏波追尾アンテナ実現法を述べる．具体的には偏波が既知である基準信号をもとに衛星搭載アンテナに対する自局アンテナの相対偏波角度の検出し，これを打ち消す偏波形成法として，ディジタル制御型の高精度偏波形成技術を適用する．試作アンテナに対して，屋内実験及び通信衛星を用いた特性評価の結果，船舶動揺下において目標とする27dB以上の交差偏波識別度を実現し，提案構成・技術の有効性を示した．