中間周波数電界を用いた人体近傍電界通信機器からの人体曝露評価

摘要

中間周波数電界（5MHz）を使用した人体近傍電界通信機器からの電磁界曝露によって人体内に誘導される電磁気的な物理量（以下体内誘導量）について，時間領域差分（FDTD）法を用いた数値解析により考察した．始めに，解析解の得られる球モデルを用い，モデル内部の誘導電界強度について，解析解とFDTD法による計算結果を比較した．その結果，5MHzにおけるFDTD法の計算精度が許容できる程度の計算誤差となることを確認した．体内誘導量に関する検討には解剖学的構造を有した数値人体モデルを用いた．人体近傍電界通信機器は完全導体の平行平板電極で構成し，胸部及び足下に配置した．この数値計算モデルを用いて，誘導電界が最も大きくなる組織，平行平板電極の極板面積及び極板間距離の遠いによる体内誘導量の変化について検討し，体内誘導量が最も大きくなった計算条件における結果を電磁界の人体曝露に関するガイドラインと比較した．その結果，人体近傍電界通信機器で想定されている入力電圧の実効値は，体内誘導量がガイドラインの制限値に達する入力電圧と比較して十分低く，人体近傍電界通信機器からの曝露によって人体に影響を与える可能性は小さいことが示唆された．