距離計測に基づく適応ハウリングキヤンセラ

摘要

ハウリングは，スピーカ・マイクロホン間の閉ループにおいて，特定の周波数成分が増大する共振rn現象であり，不快で不要な信号として扱われる．本論文では，ハウリングの位相条件がスピーカ・マイクロホンrn間の距離に依存して決まることに着目し，距離情報に基づくハウリング除去システムを提案する．本手法では，rnパイロット信号をスピーカから放射し，それをマイクロホンで受信するまでの信号到来時間を利用して距離情報rnを得る．距離と音速からハウリングの周波数が同定できるので，これをノッチフィルタにより除去する．ただし，rn実際には，距離と音速を推定しなくても，パイロット信号の到来時間のみから直接ハウリング周波数を求めるこrnとができる．この方法では，閉ループの伝達特性が未知であっても，信号到来時間のみからハウリングを除去rnできるというメリットがある．残響650msの実験室でハウリング除去実験を行った結果，音声帯域において約rn2.2dBのハウリングマージン改善量を得た．