二次元離散ウェーブレット変換の低消費電力アーキテクチャ

摘要

離散ウェーブレット変換（DWT）は信号処理や信号圧縮，数億解析などのマルチメディア処理に幅広く使われており，近年ではモバイル機器向け等のアプリケーション向けとして二次元DWT（2-D DWT）のハードウェアアーキテクチャの研究が盛んになってきている．しかしデータフローが複雑であるため，高いスループットをもちながら内部メモリ量を抑え，かつ消費電力が少ない2-D DWTアーキテクチャの設計は困難である．本論文では2-D DWT回路の全消費電力のうち，主要部分を占めるメモリアクセス回数を削減することにより，スループットを下げずに消費電力を削減する設計法を提案する．まず，外部メモリのバーストアクセスを活用することにより，外部メモリアクセス回数を低減する．更に，外部メモリへの係数配置とウェーブレット変換のアルゴリズムを変更し，外部メモリのバンド幅とバースト長を有効活用できるようにする．評価結果により，提案手法はスループットを下げず内部メモリ量を抑えたまま，外部メモリアクセス回数と内部メモリアクセス回数を削減し，消費電力を削減できることが分かった．