極変換付き等価多重極モーメント法の脳磁界順計算への適用

摘要

球群で表現された頭部モデル内にダイポール電流源を配置したときの，頭部外部誘起磁界の数値計算法に関し，極変換付き等価多重極モーメント法を用いることで，ラプラス場近似の枠内で厳密解を計算可能であることを示した。今回は7球の偏心・排他配置で表現された頭部モデルに対し，頭部外部磁界強度ならびにコイル鎖交磁束数の順計算を実行した。Eatonの相反定理を用いて数値計算結果の妥当性を検証し，今回の条件下ではおおよそ10桁程度の精度が得られているものと見積もった。本手法は，脳磁界計測（および脳波計測）用のモデルとしてもほぼそのまま使用可能であるが，筆者らの意図としては，脳磁界計測用の汎用数値計算法（例えば文献（8）の方法など）の精度校正標準として使用するのが，最も有用であろうと考えている。本研究の一部は，高橋産業経済研究財団，科学研究費補助金基盤研究（C）の研究助成を受けて行われた。