三菱商事、カナダでCCS活用水素製造へシェルと覚書2020年代後半よリ年間16.5万トン水素日本へ輸出

摘要

三菱商事は、シェルカナダ(Shell Canada)と、同国アルバータ州ェドモントン巿近郊におけるCCS(Carbon dioxide Capture,Storage)を活用した水素製造にかかる覚書を締結した。覚書に基づき、三菱商事は、シェルがエドモントン巿近郊のスコットフォードに保有する化学工場隣接地に水素製造設備を建設し、第一フェーズでは、2020年代後半に、年間約16万5,000トンの水素を製造し、輸送効率の良いアンモニアに転換後、日本巿場へ輸出することを目指す。水素の製造過程で発生するCO_2は、シェルがアルパータ州で検討•開発中のポラリスCCSプロジェクトにて地下貯留する計画。シェルのポラリスCCSプロジェクトは、年間1,000万トン以上のCO_2を貯留するCCSにするために、アルバータ州政府からの貯留権取得を目指す。カナダ政府は、2020年に水素戦略を公表した。水素を重要なエネルギー源であると位置付け、カナダを水素の主要輸出国かつ水素技術のグローバルリーダーとする目標を掲げている。今回の事業の候補地であるェドモントン巿近郊は、カナダ初の水素ハプにも指定されている。同地域は、水素の原料となる天然ガス資源が豊富で、また地下にはCO_2の充分な貯留容量も確認されているという。シェルの既存化学工場も隣接する工業地域で、シェルとの土地共用や設備統合によるコスト削減等の潜在的な相乗効果や、周辺産業との協業の機会等を追求する。三菱商事は、日本への水素輸入にあたっては、運搬が容易なアンモニアに転換する。アンモニアはすでに肥料や各種化学品の原料として、運搬•貯蔵等の流通体制が確立しており、日本政府の燃料アンモニア導入官民協議会では、燃料アンモニアの導入にかかるロードマップを公表しており、日本のアンモニァ想定輸入量を2030年に年間300万トン、2050年に年間3,000万トンとする目標も掲げる。