草月会館

摘要

生花の中でも自由で前衛的な「草月流」の総本部。丹下自身が設計した「旧草月会館」(一九五八年)を、同じ場所でテナント•オフィスを複合して建て替えた。北に赤坂御所、西に高橋是清翁記念公園という、都内でも自然が滲み出る歴史的な庭園に面した立地である。外裝材はミラーガラスのカーテンゥォールとなつており、各庭園に面するように立ち上がるL字のヴ才リュームが、四季の変化を取り込み、自然の風景を映し込む。ブルIのガラスによる仕上げは「旧草月会館」の外裝材で用いた青煉瓦に倣っており、元々の青色の意匠は草月流の初代家元である勅使河原蒼風氏の「蒼」の字からとられたものであった。当時珍しかった全面ガラスのカーテンゥォールのフアサードは、表参道の「ハナエ•モリビル」(一九七八年、現存せず)でも違う形で追求された。