欧州における鉄道車両用材料の火災防護規格に関する概要

摘要

近年の日本における鉄道火災事故の実態をみると， 図1に示すように2011年を除くと毎年10件前後 で推移しており，顕著な増減はなく，火災防護に 関する規制による効果が見られる。しかしながら， 2011年に発生した石勝線の卜ンネル内での脱線火 災事故では負傷者79名また，2015年の東海道新幹 線のガソリンを用いた放火事件では火災により発生 した高温の燃焼生成ガスを吸引した乗客が1名死 亡,負傷者は27名という悲惨な事象が発生している。 このよ.うに，不特定多数の乗客が利用していること から，一度の火災事故に対し，多くの人的被害をも たらす危険性が孕んでいることも鉄道車両火災の特 徴の一つである。