都市下水の前凝集沈殿・オゾン処理・オゾン／過酸化水素処理法の開発に関する研究

摘要

本研究では，都市下水中有機物の除去を目的として，前凝集沈殿，オゾン処理およびオゾン／過酸化水素処理を組み合わせた処理法の開発を試みた。凝集沈殿処理により固形性物質を除去し，その後オゾン処理およびオゾン／過酸化水素処理を行うことで，流入下水中の有機物を94％以上除去できる技術を開発した。このとき，オゾン処理により0.3mgO_3/mg-initial TOCの条件でオゾンとの反応が速い物質を除去し，続いて過剰な過酸化水素添加を避けるため，供給ガス中オゾン濃度100mg/lでガス吹き込み率0.028m~3/（m~2・min.），ならびに供給ガス中オゾン濃度50mg/lでガス吹き込み率0.056m~3/（m~2・min.）の条件下にて初期添加過酸化水素濃度を7～8mg/lとしたオゾン／過酸化水素処理を行うことで，効率的な溶解性有機物の除去が可能なことを示した。本研究で開発を行った凝集沈殿処理・オゾン処理・オゾン／過酸化水素処理法は，エネルギー価の高い初沈汚泥が効率的に得られ，また生物処理に伴う余剰汚泥の発生がない処理法として期待される。さらに直ぐに機能を発揮しうることから，地震等による緊急時の下水処理方法としても適用が期待できるプロセスである。