貿易統計の国際標準化と課題

摘要

貿易統計は，国際的なモノの移動に関して，輸入や輸出の国•地域，品目，価額，数量等，基礎的な情報を提供する。貿易政策の立案やモニタリング，港や空港等のインフラ整備の計画，国際資源循環の評価等.貿易統計の活用事例は多く，また，国民経済計算等のインプットとしても必要不可欠である。貿易統計は，作成基準の国際的な標準化によって，データの有用性がより一層高められている。この国際標準化は，国連が中心となって，多くの関連主体が実践的な取り組みを行い，長期的に進められている。国連は，国際標準化を反映した貿易統計のデータベースを作成している。これは，データの規模，詳細さ，更新頻度等の点から，多国間•地域間で長期的に進められている最も先進的なデータベースの事例であると考えられる。また，貿易統計では，作成基準の理論的な検討やデータの実証的な解析等，数多くの研究が存在し，貿易統計データの問題が指摘されている。本稿では，貿易統計に関して，作成基準の国際標準化.データベースの概要，データの問題点を述べ，今後の活用方策について考える。