土壌汚染対策法と基準値等の現状と課題

摘要

土壌汚染対策に関してはさまざまな法律が制定されている。土壌汚染関連法としては，①農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(農用地土壌汚染法。1970年制定)，②ダイオキシン類対策特別措置法(1999年制定)の後に，③土壌汚染対策法(以下，土対法)が制定された(2002年制定，2009年改正)。土対法は土壌汚染対策に関する一般的な法律として位置づけられるが，前二者は土対法の特別法の地位にあるため，土対法はダイオキシン類以外の市街地土壌汚染のみを対象とすることになる。さらに，土対法は，廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下，廃掃法)，地下水に関する水質汚濁防止法とも密接に関連している。もっとも，本稿では紙数に制約があるため，土対法のみを対象とし，①目的，②調査，③汚染除去，④基準値等，⑤責任，⑥取引，⑦搬出後の規制の7項目に分け，まず2002年法および2009年改正について概略を述べ(2章)，次に今後の課題に触れる(3章)。基準値等の現状と課題についてはそれぞれの④で扱うことにしたい。また，3章の中で，2016年12月に中央環境審議会から出された答申の内容にも触れる。