山須原ダム改造工事における新設コンクリー卜の温度ひび割れ対策と施工実績

摘要

山須原ダム改造工事は，既設ダムに通砂機能を付加することを目的として，既設堤体の一部を切下げ，新設洪水吐を構築後，大型クレストラジアルゲートを設置するものであり，平成23年9月に工事に着手し，平成34年5月の竣工に向けて工事を実施中である。このうち，ダムコンクリートについては，新設の大型クレストラジアルゲー卜を直接ピアで支持できるようピアにPCアンカーを埋設したため，ピアの一部分に高強度コンクリート，その他の部分に構造用コンクリート（RC)の2種類の配合を使用した。これらのコンクリートは，ダムコンクリートとしては単位粉体量が比較的多いこと，堤体を一部切下げた隅角部を含む複雑な形状のコンクリートを打設することから温度ひび割れ対策が課題であったが，リフト間の打設間隔の延長や配合の見直し，パイプクーリング工法の採用による対策を実施し，ひび割れリスクの低減を図った。本稿では，ダムコンクリートの温度ひび割れ対策及び施工実績について，配合設計時の課題や対策案の検討内容，並びに施工後の効果の検証結果を含めて報告する。