電磁シールドシステム

摘要

「いつでも，どこでも，だれとでも」「バーチャルリアリティー」「ウェアラブル」など，常に 進化を続ける高度情報化社会は，各種情報通信機器や回線の高速大容量化および小型，省電力化 を際限なく追求してきた努力とその恩恵に拠っている。高速大容量化の急速な技術進歩は，これ をグローバルに進めるために業界規格を適宜更新し，対応していく。それは人類の英知の賜物で あるが，一方で小型化，省電力化は基本素子における微細化，微小電圧電流化を余儀なくし，そ れがために，ハードウェアとしての脆弱化を招いていることも，また事実である。悪意を持った脅威はこの脆弱さにつけこんで，意図的な妨害をたくらむ。ソフトウェア上の用 語である，いわゆるセキュリティーホールが，ハードウエアにも存在することを知るべきであろう。本稿では，電磁波を媒体とした情報セキュリティー問題として，電磁波を使った「電磁波攻撃」や，電磁ノイズの傍受による「電磁波盗聴」の概要について解説し，これらの脅威に対応する電磁シールドシステム（「耐EMP·HPM」 「TEMPEST」)について，システムの構成例とその構成 要素を，基本要素，付加要素に分けて説明する。