FRP 部材を用いた園芸用プラスチックハウスの耐風・耐雪性能に関する研究

摘要

園芸用プラスチックハウス(以下，「プラスチックハウス」と称す)は国内の植物生産温室として，総設置面積の95 %と圧倒的なシェアを占めるが，一般には建築基準法の適用を受けず，図1のような強風による被害や図2 のような大雪による被害が多く見られる。現行の構造指針における設計の妥当性や崩壊までの安全余裕度などが十分把握されていない。植松らは幾何学および材料非線形を考慮した有限要素法解析に基づき，風・雪荷重を受けるプラスチックハウスの崩壊に至るまでの過程を明らかにした。それによれば，比較的小さな風速および変形で鋼材が降伏することがわかった。近年FRP(以下，「FRP」と称す)が小さな構造物に利用されるようになり，また，コストも低下してきた。そこで，本研究では一般的に用いられる鋼管に替え，ほぼ同等の径を持つFRP を用いることを提案する。FRP はヤング係数が小さいので，風力により大きな変形が生じるが，変形によって風力の低減が期待でき，高風速域まで弾性範囲に収まると期待される。すなわち，変形を利用し，耐風性を高められる可能性がある。そこで，本研究ではFRP のプラスチックハウスへの適用可能性を検討する。また，雪荷重に対しても同様に検討し，その耐雪性についても把握する。