高齢者介護福祉施設の室内温熱環境に関する研究(その3)建物全体の換気性状の解析

摘要

北海道の一つの高齢者介護福祉施設について，開口条件や換気扇の稼働状況を推定し，建物全体の多数室換気計算モデルと室内CO_2濃度計算モデルを開発した.また，室内CO_2濃度の実測値と計算値が概ね一致した.現況として，室外への空気の流出は，厨房・トイレ等の換気扇による排気によるもののみで，自然換気による外気流入量は0である.一方，建物内の温度分布によって，室間の空気の混合率が高くなつている.建物全域を等温と仮定した計算を行ったところ，建物内外での換気量に変ィ匕は生じなカゝったが，通路や居室の扉の上下で生じていた対向する流れが消失することで，室間の換気量が減少した.建物内の温度分布を小さくし，空気の混合率を下げ，感き蔓延を抑制する可能性を示した.