鉄道構造物の維持管理におけるITの活用

摘要

鉄道は古い時代に建設された路線が多く，経年が進んだ膨大な構造物を抱えている。これらは，適切な維持管理のもとで安全に使われているが、中には環境変化等の影響により，措置を要するものも少なくない。熟練保守技術者が減少する中で，これらの構造物をいかにして効率的に維持管理するかは，将来に渡る鉄道の安定•安全輸送にとって喫緊の課題である。近年，このような背景とともにITの飛躍的発展により，構造物の検査技術を高度化させる機運が急速に高まっている。本稿では，鉄道構造物の維持管理の現状を概観した上で，鉄道総研が実施中のITを活用した構造物の状態監視システムとデータベースシステム構築の事例を紹介する。