放射併用パーソナル空調システム

摘要

近年、オフィスの知的生産性への関心が高まり、これまで以上に居住環境の質を高めることが望まれている。さらに、環境負荷低減は、社会的条件であり、快適なオフィス環境を省エネルギーで達成することが求められている。このような中で、空調分野において、省エネルギー性を高めながら、室内温熱環境を向上させて知的創造空間を創出する手法として、パーソナル空調や放射空調が注目されている。また、潜熱·顕熱分離空調は、空調に使用する熱媒温度帯を室内温度に近づけて省エネルギー化を図ることができる。この熱媒の温度帯の利用に適した方式の一つが放射空調であり、気流感が少ないことを特徴としており、居住者の状況や好みに応じて気流感を調節できるパーソナル空調を併用することで、より温熱満足度の高い省エネルギーなオフィス空間を創出できると考えている。本稿では、放射空調とパーソナル空調を組み合わせた「放射併用パーソナル空調システム」について、実験評価例及び建物への導入計画例について報告する。