米国における鋼道路橋床版損傷への取組み(その1)

摘要

日本における鋼道路橋鉄筋コンクリート床版(以下，RC床版)の損傷は，昭和40年前後からの高度成長期に大きな問題として取り上げられ，その後の「鋼道路橋示方書·同解説」の度重なる改訂により，最近では以前ほどの注目を浴びなくなってきている。しかし，それは床版損傷が日常化しただけと捉えることもできるが，現在でも損傷の形態を変えて橋梁の維持管理の重要な対象部材であることに変わりはない。昨年，NEXC0 3社が共同で検討した大規模更新·大規模修繕についての報告では，今後15年を目途に土工やトンネルを含めた3兆円を超える維持修繕費の中で，約6割に相当する額が橋梁床版に必要であるとの結果が提出されている。高速道路に限らず，一般道路においても床版の損傷は同様に生じているのではないかと危惧するところである。