モニターより

摘要

全橋脚を桁と剛結構造に変更した工夫は，海上における維持管理省略の目的を果たすだけでなく，橋梁の景観についても統一感の創出に成功しており感銘を受けた.しかしながら，一般に連続PCラーメンの成立性は，桁の変形に追随する橋脚の必要高さとして，固定支間の1/2に対して1/5～1/4程度が必要とされる.本橋梁の端部橋脚（軸線高）は，固定支間の約1/10であり，構造系の成立に対して様々な工夫があつたことが想定される.中央径間閉合時に，水平ジャッキを用いて張出し施工による偏心による橋脚の残留応力を解消しているが，これにより，完成後の温度変化，乾燥収縮等による不静定力を緩和することが可能となったのか，また，全橋脚を桁と剛結することで，地震時慣性力による水平力が相対的に剛性の高い端部橋脚に偏らなかったか，その中で橋脚の形状の統一に対してどのような配慮がなされたのか，これらの点について，今後のラーメン橋の更なる展開に対して，改めてご報告いただければ幸いである.