土木学会鋼•合成構造標準示方書'耐震設計編'の改定: '想定外'の被害の低減に向けて

摘要

兵庫県南部地震（1995)を契機に導入されたレベル2の強い設計地震動に対して，各機関の耐震設計基準では,構造物の塑性化や制震デバイスで地震入力エネルギーを逸散させたり，免震装置で構造物への入力エネルギーを抑制したりする設計コンセプトが主流となった.その結果，地震動下の構造物の弾塑性動的応答を正確に評価し，地震時の安全性および地震後の使用性•修復性を照査する性能照査型の設計体系がいち早く耐震設計に導入された.この流れの中で土木学会の「鋼•合成構造標準示方書[耐震設計編]」も2008年にまとめられた.今回の[耐震設計編]の改定は10年ぶりで，この間に得られた多くの新たな知見や概念を吟味し積極的に取り入れたため，大幅な改定となった.