凍結防止剤の飛散特性と耐候性鋼橋梁の防食性能への影響

摘要

積雪寒冷地では，スパイクタイヤの使用禁止以降，凍結 防止剤として大量の塩化物を散布している.これにより， 橋梁などの鋼構造物の腐食損傷が多数見られる.これらに ついては，橋梁建設後の経年によるジョィント部の非排水 性の喪失や，排水管の損傷箇所からの水漏れなどによる腐 食損傷が多数を占めているが，路面上の凍結防止剤の飛散 による腐食事例も報告されている.岩崎らは，長 野市郊外の上信越道の高低差のない並列撟を対象にして， 凍結防止剤の桁部や桁下への飛来量と鋼材の腐食による板 厚減少量を調べ，凍結防止剤の飛散による腐食に注意する 必要のある部位は，外桁外面の下部に限られることを示し ている.しかし，路面上に散布された凍結防止剤の散布量 と桁部への飛来量の関係や腐食に関する十分な知見は得ら れておらず，高知道での鋼橋の腐食状況に基づいた「鋼道 路橋防食便覧」の配慮事項があるのみである.