エッセィ： 戦災復興から民衆駅の誕生へ

摘要

今ではJRのェキナカ、ェキュートに代表される「駅」内ショップの普及は旧国鉄民営化の後(1987年～)のことだが、実はその先駆けとなったのが1949年にはじまる「民衆駅」という駅舎建設方式、今でいうPFI事業の走りでもある。戦前までは旅客·貨物輸送専業の国営鉄道で駅には待合の売店に限り営業が認められた程度であった。1942年から1945年の世界大戦下の空襲の災禍は全国におよび、国鉄だけでも132駅が被災したとされる。戦後の財政難の中で国鉄も線路の復旧に奔走、仮駅舎で凌ぐ始末、まちの復興のためには玄関口の駅舎の再建を、との地元の声で民間資金の導人が図られることとなった。土地は国鉄、建物は民間負担で建築費の一部もしくは全額を負担し、1階に駅、上層階に商業店舗などを併設するかたちの「駅ビル」の誔生であった。民衆駅第1号の誕生は1950年、東海道本線の豊橋駅*1(3代目)で木造2階建の駅舎であった。同年には東京の池袋駅*2(西口)、翌1951年には秋葉原駅*3、尾張一宮駅*4、1952年の髙円寺駅*5、富山駅*6、札幌駅*7、1953年には沼津駅*8、松江駅*9、1954年には福井駅*10や金沢駅*11など、本格的な鉄筋コンクリート造の駅ビルが各地で続々と建設されていった。