横浜「都市デザイン室」の役割は何ですか

摘要

縦割り行政と市民をフラットにつなぐ——横浜市には都市デザイン室があります。自治体でインハウスの都市デザイナーの立場を教えてください。(中島)地域政策プランナーの田村明が1968年に横浜市に入庁し、1971年に都市デザインの専門部署ができました。今は都市整備局の一部署として、行政の各セクションを横断的につなぎ合わせ、庁内外との折衝を行う特殊な部署です。一般的に役所は職員の異動などで情報が拡散しがちですが、みなとみらいなどの「横浜市六大事業」からキャリアをスタートしているためまちづくりの長期的な経緯を把握でき、建築·造園·土木など、ジャンルも総合的に扱えるというのが都市デザイン室の特徴です。また、市民·民間の意向と役所側の理屈を重ね、双方に絵を見せながら少しずつ調整していく役割を担っています。住民と共にまちづくりを考えてきた歴史があるので、市民からも支持をいただいてきました。都市デザイン室は8人しかいないので、どうしても中心部に注力しがちですが、「水と緑のまちづくり」など、郊外区がターゲットの事業もあります。地元の方との関係は、お互いの意向を話し合うところから始まります。具体的な形を示していくところがデザインの強みですので、よい建築家やデザイナーにも協力してもらい、地元と行政、双方の間に立ってプロジェクトを進めていきます。「何か困ったらとりあえず桂くんかな」と相談してもらえるような関係を目指しています。また、子安浜など、きれいにしてしまうと魅力が薄れるところはある種「手を付けない」ことも意識しています。