名誉会員 追悼

摘要

こう思い返しても、いつも穏やかに微笑を湛えられ、決して口角泡 を飛ばしたり人の悪口や批判を口にすることはなかった。もしかしたら 建築史家には珍しい経歴と関係しているのかもしれない。1946年、旧制浦和高校を卒業し、小学校教員をしながら浪人して 1947年、東京大学に入学するも、胸を病んで休学し、やがて除籍。 生活のため藤沢市の中学校の代用教員、さらに王子の教員として計 12年勤めた後やっと1957年、日大理工学部に編入学を果たしている。 そして1963年に明治大学の大学院に入学するが、この時期も都立蒇 前工業高校の教諭を務めながらの大学院生であった。