北陸新幹線に想う地方創生——距離と時間

摘要

今年3月14日，待望の北陸新幹線が金沢まで開通した.整備計画が決定されたのは昭和48年，その2年前に決定した東北•上越新幹線が昭和57年に開業したことを思えば，北陸新幹線はオイルショックや国の財政難，国鉄改革など幾多の困難を乗り越え，大変な難産であったといえよう.当時推進委員長を務められた前富山県知事の中沖豊氏によれば，計画は凍結•見送りの連続で，建設費の地元負担の努生や並行在来線の経営分離など様々な課題が降りかかり，国への陳情と県をまたぐ地元との調整は困難を極めたという.尽力された方々がどれほどの思いで新幹線開業イベントに立ち会われたか，察するにあまりある.その気の遠くなるような取り組みに心より感謝申し上げたい.