省エネルギー行動に対する価値観の影響に関する研究その1：全体概要および首都圏ウェブ調査結果

摘要

地球温暖化対策の観点から家庭を含む民生部門における省エネや節電対策が重要性を増す中，「省エネルギーを一層推進するライフスタイル」の普及が政策課題とされている．筆者らは，エネルギーに関する意識や省エネ行動に対する行動意図や実践度に加え，その背景にある生活全般の価値観まで踏み込んで調査し，さらにはHEMSの電力消費データを用いて人々の持つ深層価値観と最終的なエネルギー消費量として現れる省エネ行動との関係から「省エネルギーを一層促進するライフスタイル」がどのようなものかを検討してきた1)2）．その結果，従来省エネルギー研究で用いられてきた「住まい方」指標に比べると影響力は落ちるものの，社会的公平性や自然を含む多様性を重視する自己超越（利他主義）的価値観が省エネ態度を経て，行動に繋がることを明らかにした．本研究では，筆者らの予備的検討結果を基に，省エネ行動に対する価値観の影響を汎用的に説明できる理論化への道筋をつけることを目指し，人々が持つ価値観がエネルギー消費行動（あるいは省エネ行動）に対してどのように影響するかを多角的に検討することを目的とする．本報では，研究の概説に加えて，首都圏在住者を対象としたウェブ調査の結果から本調査対象者のプロファイリングを行う．