石炭火力輸出の公的融資制限と途上国の技術普及への影饗

摘要

2013年6月，オバマ大統領は「Climate Action Plan」のなかで「海外の石炭火力新設に対する公的資金支援を終了する.他の選択肢がなく,最貧国向けの支援であって，最高効率の石炭火力を導入する場合，或いは，CCSを採用する場合を除く,他国や国際開発金融機関に対しても，早急に類似の措置を取るように同意を求める」とした.この発表をうけて，世界銀行や欧米の政策金融機関において，石炭火力への公的融資支援を制限する措置の拡大•連鎖が起きている.その一方で，非OECD諸国の間で，新興国の出資によるBRICS銀行や，中国主導で設立される見込みのアジアインフラ投資銀行の新銀行の設立の動きもあり，こうした機関が束縛を受けずに，石炭火力支援の中心的な役割を担っていく可能性も指摘される.