分解法に基づく分散エネルギーネットワークの協調運用計画

摘要

地球温暖化問題，エネルギーの安定供給，さらには地域活性化などを背景として，分散型エネルギーシステムの導入が近年さらに注目を集めている．電熱源機器としては，従来からのコージェネレーションシステムやヒートポンプ給湯・貯湯システムに加えて，太陽光発電などの再生可能エネルギー利用機器が積極的に導入されるようになった． コージェネレーションシステムでは，余剰電力を生じないように発電出力を調整しながら必要な熱量を生成，蓄熱するため，需要特性に応じた熱電比と出力を有する機器を選択する必要がある．ヒートポンプ給湯・貯湯システムは深夜電力によりヒートポンプを運転することが多いことから，ヒートポンプおよび貯湯槽の容量設定が重要となる．また，太陽光発電を導入した場合には，その出力変動によって連系する電力系統内での需給バランス管理に影響を与えることが問題となりつつある．このような分散型エネルギーシステムの課題を解決し，その導入効果を高めるためには，分散配置された電熱源機器で生成した電力や熱を融通するエネルギーネットワークを構築し，需要特性の異なる複数の需要家にエネルギー供給を行うことが有効である．