小型軌道検測装置を用いた水準狂い・複合狂いの管理

摘要

鉄道システムでは，車両の振動特性に影響を及ぼす軌道狂いによる輪重減少や横圧増加が車両の走行安全性の低下の要因になる．このため各鉄道事業者は整備基準値を定め，定期的な軌道検測結果をもとに計画的な軌道整備を実施している．しかし，この整備基準値に到達しない小さな振幅であっても，車両の固有振動数に近い周波数に相当する軌道狂いや，逆位相など特殊な条件下で競合する軌道狂いを管理する必要性が認識されている．例えば欧州では「cyclic top」と呼ばれる周期的な高低狂い管理が重視されているし，日本でも1963年の鶴見事故を契機に，通り狂いと水準狂いの競合防止のための「複合狂い」による管理が実施されている．